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Be-1グランプリ審査員~SFと童貞と落語:笑福亭羽光

笑福亭羽光

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Be-1グランプリをご存知でしょうか。芸歴11年以上のピン芸人が腕を競う催しです。笑福亭羽光師匠は審査員を2022年から務めておられるとか。

今回はそのBe-1グランプリへの想いや、笑福亭羽光師匠ご自身が参加した賞レースについてつづっていただきました。観客席からは見えないことがあるようです。

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Be1グランプリ審査員

R1グランプリに出場できなくなった(既定の芸歴を超えた)ピン芸人のコンテストにBe1グランプリがある。昨年に引き続き、審査員を仰せつかった。

今までいろんなコンテストで審査されてきたので、演者の想いや戦略も手にとるように判る。

最初、100点満点で点数をつけて高得点3組が決勝に残る。紺野ぶるま、エリザベス、ウメ という三組が残った。この三組の中から審査員8人が面白かった一番良かった一人の札を挙げるのだ。

僕は敗者と勝者の差を痛い程知っている。コント芸人だった時は、ほとんど敗者だった。審査の場で、僕達の名前が呼ばれる事はあまりなかった。


落語家になってから何回かは勝者になった事もあったが、僕の名前が呼ばれたその瞬間も、僕が倒した相手の事は気にかかった。

コンテストの決勝戦は、それぞれの想いが交錯するのだ。

3人のネタを観終わった。エリザベスのネタは完成度が高く、完璧だった。紺野ぶるまのネタも完成度が高く、しかも演者自身に圧倒的な華があった。迷った末、僕はぶるまに挙げた。

結果、審査員はほとんど紺野ぶるまに挙げていて、ぶるまは優勝した。

皆に取り囲まれ喝采を浴びているぶるまの横を、目立たぬように敗者である2人は舞台を降りた。
楽屋へ帰る途中、何か声をかけずにはいられずにエリザベスに声をかけた。

とりとめもない会話だったと思う。事務所ライブで何度かご一緒しましたね……とかなんとか。
もう少し話して深い話を聞きたかったが、遠慮した。

負けた戦いからは多く学ぶ事がある。
一番いけないのは、戦わない事。自分に言い訳をして挑戦しない事。

今では僕も、ヒリヒリした賞レースの決勝戦が懐かしく想い出す。
20歳の時に初めて受けたプロの漫才コンテスト、今宮戎新人漫才コンテストの決勝戦、真夏の神社、野外でスーツが汗で背中にくっつく中で、漫才やった思い出。
決勝で負けた悔しさ、そのすべてがやはり挑戦し続けたから、今思い出すのだろう。

だからBe1グランプリに挑戦したピン芸人のみんなは、誇りを持ってほしい。自分達は戦ったんだ……と。

羽光賞は、下ネタをやったハラコ君にあげた。

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